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2008年10月28日

キスと嘘と仕事

例えば。こんな言葉を掲げてみる。

10代。
キスをするには理由が必要だと信じていた。
20代。
キスをするのに理由などいらないと考えてみた。
30代。
キスをしたら理由は後から作ろうと、思った。

さて。これはキスに限った話ではなく。

10代の頃は、なにをするにも理由をつけないと、恐くて動き出せなかった。

20代になって、すごいスピードでいろんなことにチャレンジするうちに、
「思わずカラダやキモチが動くことに、
 いろいろ理由なんていらないいハズだ!
 だから恐がっってるヒマはないっ!」
と、自分で言い聞かせていたようにも思う。

それが最近になって、やっぱり理由をつけてもいいなぁ、なんて
のんびり思うようになったのだ。

例えば「その服カワイイね。いつもどうゆう風に服を選んでるの?」と、訊ねられる。
そこで「なんとなく気に入って、手にとっただけ」と、返事したら・・・
そんなコミュニケーションは無しだろう!!と思うのね。

そこで自分がなんとなく買った服を、もう一度眺めてみる。
華やかな色の組み合わせは、私の肌に似合いそうだ。
フワフワした生地で短い丈は、私の体型を素晴らしくカバーするだろう。
手持ちのあのコートにも似合ういそうだ。それからそれから・・・まだまだ思いつくぞ。
なんだ、よくよく見たら、本当に私に似合いそうな服を選んだものだ。

とりあえず、「肌の色に合わせて、こういう色を選ぶんだよ」とだけ答える。
「なるほどね、私もそうやって選んでみようかな~」と会話が盛り上がる。

「肌の色に合わせて~」は、嘘ではないが、答えのすべてでは無い。
でも、友人を満足させうるだけの答えではあった。そう、理由は人に優しい。
きっと10代の頃は、答えるならば、すべての答えを伝えないといけない!
しかも、1mmの誤解もなく、正しく理解してもらわなければ!!
と、頑なだったように思う。

さて、ここでもうひとつ重要なのは。
私はまだ30代では無いということだ。
もし最初の文章が

10代。
キスをするには理由が必要だと信じていた。
22歳から27歳くらい。
キスをするのに理由などいらないと考えてみた。
28歳から29歳くらい。
キスをしたら理由は後から作ろうと、思った。

では、とんでもなく締まらないではないか!!
コンセプトもブレブレで、どうにも面倒な文章になる。
だから平気で、私は嘘をつく。物書きだからしょうがない。

真実は常に、美しい球体だ。
言葉はそれを瞬間的に捉えるものだから、
点でしか真実を表現できない。
または、時間をかけて点の積み重ね球体を表現するか。
とにかく点でしか、捉えられない。

大きな真実の前では、
私が28歳か29歳か30歳か31歳かなどという細かい事実は吹っ飛ぶ。
別に嘘をつくつもりはないのだけれど、まぁそんな理由で、
端的に言ってしまえば、物書きなんて嘘つきなのである。
それが、私の仕事です。

投稿者 riko : 2008年10月28日 17:51